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[オーストラリアのウォーターフロント開発状況]
(1)シドニー
ダーリングハーバーは政府の土地であるが、ピアモント(Pyrmont)は売却していく予定である。ピアモント地区の公園は州政府からシドニー市の管理になるが市政府の資金は潤沢ではないので市民が維持管理に不安を持っており、水際公園については引き続き州政府が管理することを希望している。ピアモントの中小企業が追い出されることが問題となっており、再開発公団が土地を保有し中小企業を残すことがよいのではと考えている。
ウォルシュ(Walsh)とウルムルー(Woolloomooloo)を民間に売却し再開発してもらう予定であったが、木材関係などが残っており民間開発は難しい。建国当時防衛の観点から中央政府が当地区を管理していたが、1950年代に州政府管理に移されている。これ以上オープンスペースや住宅を望む声はなく、ほとんどの人が港湾活動を残しておいてほしいと望んでいる。
(2)メルボルン
ドックランドはダーリングハーバーに類似しているがダーリングハーバーより大きい。港湾活動が陳腐化した場所があり、過去10年間で再開発計画が進んだが、民間からの投資が必要で実現に至っていない。ダーリングハーバーは州政府主導で再開発を進めたが、ドックランドについてはビクトリア州政府が積極的に州主導の再開発の必要性について検討している。スポーツ大会やカジノの誘致をしており最近スポーツ施設建設を州政府が発表した。
このほか、ヤラ(Yarra)川の開発が進められており、1980年代に民間資本でホテル、レストラン、小売店が立地し、昼夜人々でにぎわうようになり、州政府もメルボルン博物館を建設している。
(3)ブリズベン
港湾地区よりも河岸で開発が進められている。サウスバンクで州・市両政府の共同事業が行われている。レストラン、ホテル、会議場、展示場、人工海浜などが建設されている。住民との合意形成に長期間かかっており、市民には好評であるが商業的には成功しているとは言えない。現在基本計画の見直しが考えられている。

 

 

 

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